2021年2月3日(水)に行われた東京都立中高一貫校の適性検査の問題分析をしてみました。
まずは共通問題の適性検査Ⅰについてを見ていきたいと思います。
適性検査Ⅰは、小石川、両国、武蔵、大泉、富士が共通問題を採用しています。
白鴎、桜修館、三鷹、南多摩、立川国際については独自問題となります。
目次
適性検査Ⅰ 出題概要
ここ2年ほど、それまでとは出題形式などが変化していた適性検査Ⅰですが、今年は「例年通り」に戻ったという印象です。
2つの文章が与えられ、それについて読解する問題1、問題2、そして作文、という解答の形式です。
今年の文章出典は、一つが、心理学者で文化庁長官も務められた河合隼雄氏によるエッセイ「『出会い』の不思議」、もう一つが、2016年に「コンビニ人間」で芥川賞を受賞された小説家 村田沙耶香氏のエッセイ「となりの脳世界」でした。
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適性検査Ⅰ 問題分析
それでは、問題を分析していきます。
問題1、問題2、ともに、文章2の傍線部について筆者が思ったことを考えたうえで、それと関連する内容を文章1から探しだして解答に取り入れさせるという、いわゆる文章横断型の読解問題でした。
これは昨年も同様で、昨年は問題2のみがこの形式でしたが、今年は問題1も文章横断型となりましたね。
解答についても、単に「同じ表現を抜き出しなさい」などという単純なものではなく、複数の解答が考えられる問題になっています。
この数年の流れからすると、「文章横断型で複数の解答が考えられる問題」というのが、適性検査Ⅰの問題傾向として定着していくのかもしれません。
今年の難易度ですが、文章1がやや難解だったかもしれませんが、文章2が非常に読みやすい文章になっているので、問いの内容を整理することは比較的容易だったと思われます。
そこから判断すると、2問とも正解しておきたい問題なのではないかと思います。
次に、問題3です。
問題3は作文です。
2年続いた「ひかるさん」と「かおるさん」のやりとりはなく、例年通り、細かく指示された条件に沿って段落構成をした上で作文するという形式でした。
ただ、例年と違っている点として、各段落の構成に対してより細かく指示がついていました。これが例年と比べると難易度が高いと感じました。
三つの段落に分けて作文するわけですが、それぞれの段落をどの程度の文字数で、どのような内容にまとめるとよいのか、迷うところだと思います。
内容的にも、単純に自分の体験談的な話に落とし込みにくいものなので、作文対策で模範解答パターンを繰り返し覚えこんでいるだけでは対応が難しかったのではないでしょうか。
というわけで、適性検査Ⅰについては、例年よりもやや難易度は高かったのではないかという印象でした。