※2021年9月6日にデータを修正しました。
東京都の公立中高一貫校の2017年~2021年までの過去5年間の難関国立大学合格者数の推移をグラフにして考察してみた結果をレポートします。
ここでの「難関国立大学」の定義は、都立中高一貫校のいくつかが、「難関国立大」と呼んで合格者数目標を設定している国立の大学のことです。
具体的には、東京大学、京都大学、東京工業大学、一橋大学の4つの国立大学です。
他にも「難関」といわれる大学は、公立、私立でたくさんありますし、医学部などの学部単位でみれば高偏差値だという大学はいくらでもあります。
ただ、これらをすべて抽出していたのでは数年間の推移の比較が大変なので、とりあえず、東京大学、京都大学、東京工業大学、一橋大学の4大学への合格者数で比較をしたいと思います。
また、数字は現役、既卒生を含む数字となっています。
目次
2017年~2021年 東京都公立中高一貫校 難関国立大 合格者数推移
ざっと見て、武蔵、小石川が常に合格者数上位にきているようです。
数字の羅列だと見にくいので、折れ線グラフで推移を見てみたいと思います。
難関国立大合格者数 5年間の推移
こうしてみると、小石川の強さが目立ちますね。
ここ数年は、都立中高一貫校のナンバー1という感じでしたが、今年の結果をみると、頭一つ飛び抜けて、もはや次元が違うところにいってしまった感があります。
小石川は、2017年~2020年までは、平均して30.5人の合格者で、25%の範囲内で上下を続けていましたが、2021年の46人という結果は、平均値から50%以上の上昇となるので、明らかに次のステージへいったということがわかります。
2位をキープし続けている武蔵も、2017年に15人だったのが、2019年に2倍の30人となり、2020年に一度落ち込んだものの、2021年には再び32人となって一段ステージをあがっているように見えます。
この2校は、都立中高一貫校の中でも飛び抜けた存在となりつつあるような感じですね。
では、小石川と武蔵以外の学校はどうでしょうか。
このグラフだと見にくいので、小石川と武蔵を除いてグラフを拡大してみます。
難関国立合格者数 5年間の推移(小石川、武蔵除く)
ざっとみると、2017年~2021年では、桜修館、両国が、3位争いをしている感じですが、2021年で変化が出ているようです。
両国と南多摩が、ステージを一段下げた感のある下落をしている一方、立川国際がステージを上げた感のある上昇をしています。
立川国際は、2倍以上の差はあるものの、武蔵の32人に次ぐ14人の合格者数となっています。5年前の4人から比べると、3倍以上に増加しており、大きく躍進していると言えます。
大泉が立川国際に次ぐ4位となっていますが、5年間の平均が10.2人なので、今年の13人という数字はある程度予想の範囲内の上下かと思います。
桜修館は昨年、一昨年と上向きで約20人だったため、今年の11人という数字は大きく落ち込んでいるように見えますが、2017年、2018年の数字に戻ったと考えると、予想の範囲内の上下と言えそうです。
学校同士の比較を明確にするため、今度は、東京都の公立中高一貫校11校の合格者数を多い順に並べてランキング形式にした推移グラフを見てみたいと思います。
難関国立合格者数ランキング 5年間の推移
こうしてみると、先ほど書いたとおり、両国、南多摩の2校だけが、2021年にこれまでにない下げ方をしていることが分かります。
一方、立川国際が明確な右肩上がりのグラフになっていることもよくわかると思います。
グラフ分析から考察レポート
難関国立大学の合格者数を比較して、都立中高一貫校の優劣をつけようという意図があるわけでは決してないのですが、こうしてみると以下の3点が事実として見えてきた気がします。
①小石川、武蔵のブレイクスルー
②立川国際の躍進
③両国、南多摩の停滞
2021年を境に、こういった傾向がもし強くなってくるようであれば、学校間で差が生まれた要因が何なのかというのは分析してみたいなと思いますね。
コロナ前とコロナ後の各学校の取り組みの差、ということになるのでしょうか。
そこを分析して、今後の受検校選びの指標の一つにできればと思います。