2022年2月3日(水)に行われた東京都立中高一貫校の適性検査の問題分析をしてみました。
まずは共通問題の適性検査Ⅰについて、難易度、傾向、評価を見ていきたいと思います。
適性検査Ⅰは、小石川、両国、武蔵、大泉、富士が共通問題を採用しています。
白鴎、桜修館、三鷹、南多摩、立川国際については独自問題となります。
目次
2022年 都立中 適性検査Ⅰ 出題概要
ここ数年、出題形式などが変化していた適性検査Ⅰですが、昨年は「例年通り」の出題形式でしたが、今年はまた、変化がありました。
2つの文章が与えられ、それについて読解する問題1、問題2、そして作文、という解答の形式は変わりませんでしたが、作文で指定されていた段落ごとの条件がなくなり、自由記述となりました。
指定はありませんが、返って論理的な文章の組み立てを自分で考えて記述しなければならず、ある意味、難易度は上がったと言えそうです。
さて、今年の文章出典は、一つが、博物学者、フリーライターで沖縄大学学長の盛口満氏による「自然を楽しむ―見る・描く・伝える」、もう一つが、動物行動学者で特にカラスの研究で知られている松原始氏による「科学者の目、科学の芽」からでした。
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2022年 都立中 適性検査Ⅰ 問題分析
それでは、問題を分析していきます。
問題1は、文章2の傍線部について考えたうえで、それが文章1でどのように書かれているかを探しだして解答に取り入れさせるという、いわゆる文章横断型の読解問題でした。
解答は、文章中から抜き出して答えることができますが、複数の答え方が考えられる問題になっています。
この数年の流れからすると、「文章横断型で複数の解答が考えられる問題」というのが、適性検査Ⅰの問題傾向として定着していくのかもしれません。
これは昨年、一昨年も同様で、今年も問題1で登場しましたね。
問題2は、動物の研究について書かれた文章1と文章2に共通する点は何なのかを考え、その答えとして「筆者の取り組み姿勢」という共通点をあげ、それを要約するという内容です。
具体から抽象へと論理を組み立て、それから文章に落とすという作業が必要なため、論理的な思考力が求められる難問だったと思います。
問題3は、文章1か2の筆者の取り組み姿勢を踏まえて、中高一貫校での6年間、自分はどのように過ごすつもりかを作文させる問題でした。
冒頭で述べた通り、段落ごとの条件指定が無い分、文章構成力が昨年よりも問われる問題となっていたと思います。
2022年 都立中 適性検査Ⅰ 難易度評価まとめ
全体を通しての難易度評価ですが、文章自体は読みやすかったものの、解答を記述するのに苦労するような問題だったと思われるため、例年よりもやや難易度は高かったのではないかという印象でした。
昨年も少し難易度が高くなったと感じましたが、今年はさらに上積みされた感があります。
読解力もさることながら、そこから回答を記述する力を見ることに重点が置かれていることが伝わってくる出題でした。