2022年の東京都立桜修館中等教育学校の適性検査の問題分析を行いました。
桜修館中は、適性検査Ⅰと、適性検査Ⅱの大問1が独自問題なので、こちらについて詳しく見ていきたいと思います。
目次
2022年 桜修館中 適性検査Ⅰ 問題分析
問題の形式は例年通りで、資料A、資料Bの2つの文章を読んで解答となります。
資料A、Bともに、本川達雄さんの『生物学的文明論』からの抜粋でした。文章Aは「クマノミとイソギンチャクの相利共生」についての話でした。
文章Bは「生物多様性」についての話でした。
問題1は、文章Aから筆者が考える相利共生とはどのようなことか本文にある具体例を使って140字以内で説明させる問題です。
これまでも桜修館の文章読解問題は、100字以上の割と多い字数で回答させる形式でした。
これは、都立中共通の適性検査Ⅰの文章読解問題が、50字程度で解答させる問題だということと比較すると少し難易度が上がるという印象です。
具体例を挙げつつも、本文の内容を踏まえた抽象的な内容へまとめる能力が試される問題です。
問題2は、文章Bから筆者が生物多様性が大切だと述べている理由を50字以内で説明させる問題です。
字数も一般的で、内容的にも本文のまとめ部分を要約すればそのまま解答となるような問題ですので、必ず正解しておきたい問題です。
問題3は、500字以内の作文問題です。文字数や書き方の制限は例年通りです。
二つの文章の内容を踏まえ、筆者が言わんとしていること、また、それを踏まえて人間は生態系の中でどのように生きていくべきだと考えるか、を説明させる問いかけです。
段落構成の指示は昨年にはなかった新しい点です。
内容としては、問題1と問題2で解答した内容をもとに、「生物多様性を安定させることの大切さと、自分たちの目の届く程度の部分ではなく、その範囲外に目を向けて生態系全体で働く相利共生のことを考えていくべき」ということが書けていれば良いのではないかと思います。
2022年 桜修館中 適性検査Ⅱ 問題分析
桜修館は大問1のみが独自問題です。今年の大問1は小問3問の構成です。
小問1は、コンピュータに英文章を判断させるためにローマ字の代わりに〇と▲の二つの記号だけを使う場合のデータ容量を考える問題です。
最初に指定された「ローマ字から記号への換算表」を、会話文にある「データ容量を減少させるための工夫」に従って変更すると容量を約9%減少させることができるのはなぜか、その理由を答えさせる問題です。
コンピュータへのプログラムのルールを理解するのが難しいポイントですが、例の英文を参考にすると分かりやすいのではないかと思います。
解き方としては、まずはどの文字を置き換えるのかを判断し、次にその置き換えで何%減るのかを計算するという手順です。
問題2は、球を分配させるピラミッド型に作られたパイプ装置についての問題です。
例で、最下段(4段目)の箱に振り分けられた玉の数を参考に、どれか一つだけパイプを塞ぐことで球の分配率を指定通りに変化させるには、どのパイプをふさげばよいか、また、その場合にどの箱にどの割合で分配されるのかを答えさせる問題です。
1段目で1/2、2段目で1/4、3段目で1/8、4段目で1/16に分かれるということに気付けるかどうかポイントであることと、「パスカルの三角形」を扱った問題を解いたことがあるかどうかで難しいと感じる度合いは変わってくると思います。
問題3は、分配装置を10段まで増やした時に使用するパイプの数の求め方を説明させる問題です。
求め方は会話文で説明されているので、その通りに計算式を組み立てて記述することを求められます。
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