2022年の東京都立武蔵高等学校附属中学校の適性検査の問題分析を行いました。
都立武蔵中は、適性検査Ⅱの大問2と、適性検査Ⅲが独自問題なので、こちらについて詳しく見ていきたいと思います。
目次
2022年 都立武蔵中 適性検査Ⅱ 問題分析
大問2は社会系の問題で、明治時代の日本の工業の発展について扱った問題です。
小問1は、資料と会話文から、綿糸の生産量が大きく増えた理由を、西暦を使って時期を明確にしたうえで答えさせる問題です。
小問2は、資料と会話文から、資料のA~Dにあてはまる工業地帯もしくは工業地域の名前を答えさせ、かつそこから二つを選んで、生産割合についての共通点、もしくは、相違点を、資料と会話文を二つ使ってその理由を説明させるという問題です。
内容はそこまで難しくありませんが、回答条件が細かく指定されているので、文章構成力が問われる問題です。
小問3は、資料と会話文から水質の状況について分析し、数値(データ)を使ってその背景を説明させ、さらに改善策を提案させるという問題です。
資料から河川と海で「環境基準達成率の数値の違い」「海へ流れる排水の内訳」という事実をもとに、「水の再利用による排水の削減」という提案を、具体的な取り組みを上げて説明するということになります。
小問2よりもさらに長い文章になるので、より文章構成力が問われる問題です。
2022年 都立武蔵中 適性検査Ⅲ 問題分析
例年同様、大問2問構成で、大問1が算数、大問2が理科でした。
大問1は、「万華鏡」をテーマにした問題です。
問1は、円の内側に内接する三角形の一辺が円の直径よりも短くなることを図と言葉で説明させる問題です。
証明問題の記述の仕方を覚えて使いこなせるようになっておく必要がある問題です。
問2は、万華鏡の中の棒によって形成されて見えている模様の形を、棒を動かすことで1.5倍の面積になる模様へと変化させた場合の形を図示させる問題です。
ルールの説明がやや難解なため理解しづらいところがありますが、どちらかというと注意点のような内容なのであまりこだわり過ぎずに、1.5倍の面積にするにはどうすればよいかを考えてしまうのがポイントかもしれません。
問3は、鏡を床面と、床に垂直になるように2枚の鏡を90度の角度で重ねた3枚の鏡の模型の前に立方体を置いたときに見える立体についての問題です。
ルールに従って立方体を置き、かつ、それを回転させたときに例と同じ見え方をする場合を図示させるという問題です。
回転させた場合を想像する必要がある点がポイントです。
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大問2は、理科の生き物についての比較を数値で行うということがテーマとなった問題です。
問1は、3種類の動物のジャンプする距離をそのまま比較するのではなく、体長、体重を使って別の比較をしてその結果を解説させる問題です。
体長の何倍飛んでいるかなど、答え方は複数あります。
問2は、アゲハチョウのオスの習性について調べた調査結果をもとに、結果から読み取れることを記述させる問題です。
単に読み取れることを記述するというのではなく、自分で仮説を立てたうえで、その根拠を上げて理由を説明するということができるかどうかを問われている問題です。
問3は、金魚と切り花についての仮説のうち1つを選び、仮説にある「元気」をどのように数値化するのか、さらに、それをどのような実験で調べるのかを説明させる問題です。
自ら課題を設定し、実験方法を考えて実際に調査し、その結果を比較して仮説を検証するという一連の流れを文章で説明させるという問題です。
限られた時間の中でポイントを押さえて記述することが求められている問題です。
いずれの問題も、知識量が多いか少ないかは正答率にほとんど影響せず、理科分野についての興味や関心が、疑問点を深く掘り下げて答えを考えようとする思考力が備わっているかどうかを問われている問題だと思います。
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