適性検査Ⅰの作文力を自宅で鍛えるコツは、親子の会話です。
親と子が一緒になって色んなことについて考えて意見を出し合う「親子ディスカッション」を行うことで自然と知識も深まります。
「親子ディスカッション」のネタは最初は親が用意してあげるのがいいと思います。
できれば社会にある課題について取り上げると、より適性検査で出題される内容に近しい議論ができておススメです。
今回は、私がこれは使える、と思ったネタをご紹介します。
法政大学現代福祉学部の湯浅誠教授の講演から抜粋です。
湯浅誠氏は、社会活動家としてホームレス支援や被災地支援などを行なっている方です。
湯浅氏がこれまで支援したホームレスの方で、かつては建築現場の日雇い労働者として働いていたけど、ある時から仕事が全く取れなくなってしまったという方がいたそうです。
日雇い労働者は、以前は早朝の公園に業者の人が車でやってきて、「今日はこんな仕事があるけどできる人はいますか?」と求人を出すので、できる仕事であれば手を挙げ、そのまま車に乗って仕事現場に連れて行ってもらうというシステムでした。
しかし、携帯電話が普及したことでこのシステムは一変。
当日に求人があるのは同じですが、業者が迎えに来てくれることは無くなり、電話で仕事現場を指示されるので自分でそこまで行かなくてはならなくなりました。
湯浅さんが支援していた人は、手に職がある人でしたが地図が全くダメな人だったので、現場にたどり着くことができずに仕事ができなくなってしまいました。
仕事をする能力はあるのに、地図が読めないというだけで仕事ができないんです。
そこで湯浅氏は、地図を替わりに読んであげるサポートをしてあげるという支援をしました。
結果、その人はまた以前と同じように仕事ができるようになってそうです。
このように、上手くいっていない人の何が問題なのかを探り出して手伝いをしてあげる方法を考えるというのは、その人を支援する上で非常に重要なことなんです。
一方、湯浅氏は、被災地での支援も行っていますが、そこでは冬場に足湯のボランティアをよくやるそうです。
足湯ボランティアは、椅子と湯をはったたらいをもっていって被災者を足から温めてあげるというものです。
ボランティアの人は被災者の前に座って、「熱すぎたりしませんか」などと声をかけてあげます。
ではここで質問です。
この足湯ボランティアは、いったい何のためにやるのでしょうか。
当然、足を温めてあげることが本来の目的ではありません。
この質問への答えを親子で一緒にディスカッションしながら考えてみましょう。
正解はありません。どうするのが良いと思うのか、自分の意見を子どもに語らせることが重要なんです。
ヒントはさきほどのホームレスの話です。
単に手助けをするのではなく、その人が本来持っている力を引き出してあげるように知恵と工夫を凝らすことが重要なんですね。