公立中高一貫校のはてなブログ

このブログは、全国の公立中高一貫校の受検について考察するブログです。 受検倍率や大学合格実績のデータ収集、適性検査問題の分析、受検勉強法、教材(進研ゼミ、Z会、ブンブンどりむ)や塾(ena、日能研、栄光ゼミ)の体験談口コミを紹介しています。 2019年に都立中高一貫校に合格しました。

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都立中高一貫校の高校入試倍率が1倍以下!中受の10分の1!高校授業料無償化だけが原因なの?

令和2年度(2020年)の都立高校の志望予定(第1志望)調査の結果が発表されましたが、結果をみて驚きました。

 

驚いて目が飛び出る人のイラスト(女性)

 

都立中高一貫校の高校入試倍率は低い!

志望予定調査とは、都内の中学校全校で行われる調査で、高校ごとの募集人員数と、12月時点での志望者数が集計されたものです。

 

これによると、今年の都立中高一貫校の高校受験は、中学受検の倍率と比較すると、驚くことに10分の1になるという結果が出ています。

 

例えば両国は、2019年の中学受検では男子で6.50倍、女子で6.55倍でした。

 

それに対して、2020年の高校受験では、なんと男子で0.67倍、女子で0.69倍と、約10倍もの差が出ています。

 

そもそも、1倍を切っているということは、理論上は受験すれば誰でも合格できるということになってしまう数字です。

 

さらに、他の学校の高校受験倍率も見てみると、大泉の男子で0.49倍、富士の男子で0.64倍、女子で0.62倍など、もっと低い数字が続いています。

 

一番倍率が高い都立中高一貫校は白鷗でしたが、それでも男子で0.95倍、女子で0.90倍なので、全ての学校が1倍を下回ってしまっているという衝撃の結果です。

 

実は、昨年の倍率でも都立中高一貫校の高校の受験倍率は1倍を切っていました。

例えば両国は、男子で0.87倍、女子で0.69倍でした。

 

ただ、大泉は男子で1.36倍、富士は男子で1.13倍、女子で0.97倍、と、昨年から激減しています。

 

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原因は高校授業料無償化だけではない

なぜこんなことが起きてしまったのかと言うと、その背景の一つとして、2020年から高校授業料無償化が始まり、私立中学を受験しようという人の割合が高まっているということがあげられると思います。

 

高校授業料無償化は、年間の授業料40万円を国が負担してくれるというものです。(ただし、年収590万円未満の世帯のみです。それ以上の世帯は、年間11万8,800円しか補助されません)

 

この制度がスタートすることで、3年間で120万円分が負担軽減されるということで、だったら私立の学校でもなんとか家計をやりくりできると考えた人が一気に私立に流れたということが考えられます。

 

しかし、だとすると都立中高一貫校の高校だけでなく、都立高校全体の受検者数が減少しないと説明がつかないのですが、そうなっていません。

 

昨年の都立高校受験志望率は、73.52%でしたが、今年は72.14%でした。

減少率としてはわずか1.38%の減少にすぎないため、誤差の範囲内と言える数字なのでほぼ前年通りです。

 

実際、都立中高一貫校以外の都立高校の2020年の倍率はそこまで下がっていません。

 

例えば都立高校のトップ、日比谷は男子で1.57倍(昨年は1.82倍)、女子で1.64倍(1.49倍)、戸山は男子で2.10倍(2.13倍)、女子で1.93倍(1.84倍)、三田は男子で1.83倍(1.78倍)、女子で2.37倍(2.14倍)という数字です。

 

三田の男子については前年より増加しているくらいなので、やはり、都立から私立に流れたというのは納得がいかない結果となっています。

 

つまり、都立中高一貫校の高校だけが一人負けで、私立の上位校や都立の他の高校へ生徒が流れてしまっている状態ということになります。

 

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都立中高一貫校の魅力って何?

 

そうなると、都立中高一貫校の高校の倍率がここまで下がってしまった原因としては、単純に、都立中高一貫校に高校から入学しようと考えた時のメリットが少ないからということになると思います。

 

中学から入学できた子にとっては、新しく高校から入学してきた生徒に刺激を受けてさらに切磋琢磨していくことができるのかもしれませんが、逆に高校から入る生徒にとっては、すでに出来上がっているコミュニティの中に上手くなじんでいけるのかという不安が大きいと考えられるようですね。

 

実際は、高校から入学する生徒が全体の5分の2という数字になるので、その中で自分だけがコミュニティに馴染めないという確率はかなり低いと思われるので、そのあたりのイメージを払しょくするような情報を学校側からもっと発信していかないといけなかったんじゃないかと思います。

 

逆に言えば、そいういったマイナスのイメージを覆すほどのプラスのイメージが都立中高一貫校にはなかったということで、「6年間通うこと」を除いてしまえば、他の都立高校よりも魅力は低いという言い方ができてしまうと思います。

 

結局、都立中高一貫校は、中学からの入学の需要が高いからということで高校からの受け入れを停止してしまいましたが、中学の倍率高騰と、高校の倍率低下というのは全く別の話なので、高校の倍率低下についてはよくよく検証しないと都立中高一貫校自体の魅力がさがっていく予兆とみることもできると思います。

 

5年後、10年後に都立中高一貫校の人気が下がってしまっていたということがないようにしてほしいですね。

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